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遺言書を自作するときの形式要件と保管方法の注意点

遺言は自分で作成することもできますが、形式を満たしていなければ無効になってしまう可能性があります。

自作の遺言書は、費用をかけずに作成できる一方で、書き方や保管の方法を誤ると効力のない書面になってしまうのです。

今回は、遺言を自分で作成するときに押さえておきたい形式と保管方法の注意点を説明します。

自筆証書遺言に欠かせない形式

民法968条1項は、遺言者が全文と日付、氏名を自書し、これに押印することを求めています。

1つでも欠けると遺言そのものが無効になるおそれがあるため、書き上げたあとに要件をたどって確認するのが安全です。

日付は年月日まで特定して書く

日付は遺言の作成時期を示す要素であり、吉日のような記載では時期を特定できず無効と判断されます。

複数の遺言が見つかったときは日付の新しいものが優先されるため、書き直した場合も年月日を記入します。

氏名は戸籍のとおりに書き、押印は実印でなくても差し支えありませんが、本人が作成したことを示すうえでは実印が望ましいでしょう。

なお、2026年6月に成立した改正民法では押印の要件が廃止されますが、施行前のため現在は押印が必要です。

財産目録はパソコンでの作成が認められる

民法968条2項により、財産目録に限ってはパソコンでの作成や通帳の写しの添付が認められています。

この場合、目録の各ページに署名して押印しなければ効力を認められません。

訂正の方式も厳格に定められている

書き間違いを直すときは、変更した場所を指示し、変更した旨を付記して署名し、その箇所に押印します。

この方式は財産目録に限らず、自書した本文や日付を直す場合にも同じように適用されます。

方式を外れた訂正は効力を生じないため、書き損じたときは全体を書き直すほうが安全です。

内容と保管でつまずきやすい点

形式を満たしていても、内容が曖昧であれば相続の手続きに使えません。

財産を特定し遺言執行者を決めておく

不動産は登記事項証明書の表示どおりに、預貯金は金融機関名と支店名、口座番号まで書き込みます。

だれに何を渡すのかが読み取れない書き方では、法務局や金融機関の手続きで受け付けられないおそれがあります。

あわせて遺言の内容を実現する遺言執行者を指定しておけば、相続人が個別に動く負担を減らせるでしょう。

兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があるため、特定の人へ全財産を渡す内容は争いにつながりやすい点も注意すべきです。

自宅で保管した遺言には検認が必要になる

自宅や貸金庫で保管していた自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

検認には相続人全員への通知が必要で、完了まで1か月以上かかることもあります。

一方、2020年7月に始まった法務局の保管制度を利用すれば検認は不要となり、紛失や書き換えの心配も避けられます。

まとめ

自分で作成する遺言は費用を抑えられる方法ですが、形式と内容の両面で無効になる余地を残しやすい書面です。

財産の特定や検認の負担まで見通したうえで、法務局の保管制度の利用も含めて検討するとよいでしょう。

遺言書の書き方や保管制度の利用でお悩みの方は、石川司法書士事務所までお気軽にご相談ください。